「債券が売られ、長期金利が上昇」という報道は、一見すると逆のことが同時に起きているように感じられます。債券を買う値段と、将来受け取るお金を分けて考えると、この関係が見えてきます。
この記事のポイント
- 表面利率は額面に対する利息の割合。利回りは購入価格なども反映する。
- 受取額が同じ固定利付債は、購入価格が下がるほど利回りが高くなる。
- 満期前に売却する場合は、価格変動による損失が生じ得る。
約束された利息と、買う値段
固定利付債では、額面に対して支払う利息の割合が表面利率です。一方、利回りは、購入価格に対してどれくらいの収益になるかを考える指標です。途中で市場価格が変わっても、既に発行された固定利付債の表面利率が毎日変わるわけではありません。
最終利回りには、受け取る利息に加え、購入価格と償還額の差、満期までの期間が関わります。財務省も、国債の最終利回りを購入価格、表面利率、償還期間から算出するものとして説明しています。
簡単な例で方向をつかむ
仮に、一年後に利息を含めて合計101円を受け取れる債券を考えます。これを100円で買う場合の収益は1円ですが、99円で買えれば収益は2円になります。同じ将来の受取額に対し、支払う値段が低いほど収益率は高くなります。
これは価格と利回りの関係を示す架空の単純例です。実際には利払いの時期、経過利子、税金、手数料、発行体の信用状態などが関わります。複数年の債券や異なる利回り計算を、この例だけで正確に比較することはできません。
新しい金利水準との比較
市場の金利が上がり、より高い利息を受け取れる新しい債券が出てくると、既存の低い利息の債券は相対的な魅力が下がります。その価格が下がることで、購入者にとっての利回りが調整されると考えると理解しやすくなります。
ただし、個々の債券の価格には満期までの長さ、発行体の信用、市場の流動性なども影響します。同じ金利変化に対する反応が、すべての債券で同じとは限りません。変動利付債など、利息が変わる商品は条件を別に確認する必要があります。
「安全」という言葉を分解する
債券でも、満期前に市場で売却すれば、購入した価格を下回る可能性があります。外貨建てなら為替の変動も円換算の損益に影響します。満期まで保有する場合にも、発行体の信用リスクや物価上昇による購買力の低下を考える必要があります。
報道の長期金利は、代表的な年限の国債利回りを指すことが多く、個人が購入するすべての債券の条件を示しているわけではありません。ニュースの利回りと商品説明書の数字を比べる前に、対象と計算条件をそろえましょう。
参照した一次資料
参照確認日:2026年11月1日。上記資料を参考に、編集部が独自に構成・執筆しました。リンク先の更新により内容が変わることがあります。